好きなこと好きなだけ

オタクが言いたいこと言うだけ

私の推しが引退した話 〜少女漫画のポエムかよ〜

初めてあなたを見た時

この世にこんなに素敵な人がいるのかと思った。


かっこよすぎて目が離せないなんて思う日が来るなんて思わなかった。



そして、あの時はこんな日が来るとは思いもしなかった。



推しがある日突然いなくなった。

別に亡くなったとか、失踪したとか事件性のあるものではない

ただ単に業界を引退した。


推しと出会ったのは、1年くらい前

今となってはその頃から決めてたのかな?って思う


突然だが、私はオタクであることや俳優さんが好きなことをあまり周りに言っていなかった。


少人数の趣味が一緒の友達と盛り上がるくらいで十分だったし

それに推しが引退するなんて考えたことがなかった。


私は1年前たまたま見た舞台に出演していた彼に一目惚れをした。


そのときはこれからも応援できると思ってた。

だから、彼を見てその日に応援しようと決めた。

そこからは自分に無理のない範囲で応援してた。

舞台に通ったり、配信見たり

でも恥ずかしくてどうしても接触には行けなかった。

アラサーが何言ってんだって感じなんだけど

推しは顔がとってもタイプで、人生で一番好きだったから

自分に自信がない私は彼の前に立つのがとても怖かった。

顔以外にもたくさん好きなところはもちろんある。

でも顔も好きだからこそ、彼の目に私が映るのがとても嫌だった。

たしかに何度か、舞台のイベント?でチェキを撮る機会はあった

でも、これから推していく中で1回でも接触できればいいやと思っていたので

毎回チェキを撮らずに帰っていた。


推しからしたら舞台を見にくるだけの私のことなんて知らないと思うけど

最初で最後と決めた1回は私にとっては重要で大切な思い出になるから。

これから長く推していけると思っていたからこその考えだった。


私はマメじゃないので公演の感想とか、写真とかを書いたり撮っておくタイプではない

だから友人と感想を言い合ったり、過去の円盤とか見て

ここはこうだったなとかこの時かっこよかったなとか

私が思い出すだけで、何かに残したりはしていなかった。


私は人生すべてをかけて推しを応援することはできない、アラサーだし、独身だけどオタクなので常に金はない。

それでも彼は確実に私の頑張る糧で生きる意味だった。


そんな中突然の発表だった

業界を引退すると。


発表から退社まであまり日数はなく、私が最後に見た舞台が

彼の最後のちゃんとした舞台だった。


知らなかった。

当たり前だけど。


誰に何も言えない、

だって推しが決めたことだから。


好きな人が引退したとか言うと

よく、一般人になるんだから出会えるかもとか言われることあるけど

私はそんなこと望んでない。

彼の演技が好きだった、ダンスの表現が好きだった殺陣が好きだった。


これからいろんな舞台に出てくれると思ってた

個人イベントとかやってくれるんじゃないかとかたくさん考えてた

どんな役見れるのかなとか、あんな役似合いそうとか考えるのが楽しかった。


新しい舞台が発表されるたび、ドキドキしながら彼の名前を探した。

彼のTwitterで新しい舞台が発表されるたび行ける日を探した。


それが無くなった。



だって彼の視界に入るのが嫌な女が、出会って何ができるよ。


彼の引退発表に理由は書いてなかった。


彼は今まで携わった舞台は全部大切な思い出だと言った。


それに業界を引退すると言った。

もう彼の中で区切りをつけたんだと思うじゃない。


それを、舞台に立っていた頃の彼を好きな自分が彼に会ったとして何が言える?

私は何も言えない。

彼の活躍しか願ってなかった私には悲しくて何も言えない。

私は役を演じていた、俳優としての彼を知っていても彼自身のこと何も知らない。


彼も私のことなんて知らないだろうけど

だって接触に行かなかったから。


最初で最後どころか一度も行けなかった。

11回が最後のチャンスだったなんて、そんなこと知るはずなかった。


こんなことなら、推しにブスだなって思われても接触に行けばよかった。

1回くらい舞台の感想とか伝えればよかった。

応援してますとか、言えたらよかった。

それが彼のためになるのかは知らないけど。


私は実は前に違う俳優さんのイベント行った時、疲れてたとは思うけど話しかけても挨拶だけで会話してもらえなかったり目線合わせても貰えなかったのが悲しくて

イベントに行くのが負担になってるかもと思ってからは他の俳優の接触でもいくのを躊躇うようになっていた。


でも、一度くらい行けばよかったと思った。

俳優としての彼個人との思い出は何もない。


それに私は記録を残さない、写真や円盤はあるけど私の彼の思い出は私の頭の中にしかいない。


私が普段接する人たちは私が彼を好きだったことを知らない。

だから、私が思い出せなくなったら今まで生活する上で大切だった人がただ消えていく

この想いも、今まで彼のおかげで頑張れてた日々も

私の頭の中にいた人が、どんどん円盤や写真の中の人になってしまう。


なんで思い出すだけでいいなんて思ったんだろう。

もっと彼の良いところとかダメなところとか少しでも書いとけばよかった。

行った公演の日付や日数すら書いてない。

ダメオタクだわ。


これで推してたとか言っても茶の間とか全然推してないって思われるかな。

でも応援の仕方は人それぞれだし、最終的に推すのは自己満足だし。

私の中では精一杯推して、ちゃんと好きだった。


こんなことになるなら

いっそ推してなかったって言えたらよかったなんて思ったこともあるけど


でも私が彼を見つけた

あの日のあの時の気持ち。

これだけは唯一いつまでも、どうしたって忘れられない。


推してた頃の気持ちは忘れるかもしれなくても、あなたに一目惚れした日の気持ちはいつまでも残ってる。


あなたをもう舞台の上で見ることすら叶わないのに。


忘れられないの、忘れようとするたび思い出すんだから。


思い出すたび悲しくなって、私の気持ちに落とし所が見つかるまで永遠にその繰り返し。


それが、嬉しくもあり痛くもある。


だから、もう引退してしまった彼が

私の知らないところで幸せになっていることを願う。


今はまだ、この物語の結末を知りたくないから。